愛してるなんて言わないで
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土曜の朝、焦る気持ちをなんとか抑え付けながら

颯太の手をギュッと握りしめて翔太さんの病室へと向かった。




本当は依子から聞いて直ぐにでも来たかった。


でも…


恐かった。


翔太さんが重たい病気だなんて…

依子の言ったように何も食べる事も出来ずに寝込んでる翔太さんを見て…


動揺せずに受け止められる自身がなかった。



好きな人が病に苦しんでる…。




もしかしたら、そんな時に私の顔なんて見たくないかもしれないとか。

色んな葛藤があって…


足が重たくなって…

来れなかった。


でも…

それでも…


もしも翔太さんが…

私に会いたいと

颯太に会いたいと…


そう思ってくれてるなら…。




「お兄ちゃん…土曜日の夕方には面会できなくなると思う。」

依子の言葉は、とても重たかった…。



もう会えなくなってしまうのなら…


それが本当なら…


会えなくなるまでに

一言

翔太さんと会えたこと。

こんな私を好きになってくれたこと


「ありがとう。」と伝えたかった。



「颯太…翔太さんね。疲れてて眠ってると思う。

だから、あんまり騒いだらダメよ?」


そんな言葉を口にした途端に湧き上がる思いが胸をギュッと締め付ける。



でも…泣いたらだめ。


泣いたらダメなんだ。




翔太さんの入院する個室の病室の扉をノックして、扉を開ける。


目を逸らしたらいけない。

真っ直ぐに

ちゃんと受け止めなきゃいけない…。



開いた扉の向こう。



私の視界に翔太さんの姿が映される。


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