愛してるなんて言わないで


「ただの風邪だと思いますけど…別の症状がでたらまた来て下さい」


「はい。ありがとうございます。」


風邪薬を受け取り、車に乗る頃には颯太の熱はすっかりひいていた。


「顔色、よくなってきたね」

「うん!もう大丈夫!」


もう…大丈夫なのかぁ…。


嫌な思いをしてまで早退したのに…。





そんな風に思ってしまう。



私だって…



働かずに子供のそばにいられるなら


そんな風に考えたりしないのに…。


車を走らせながら

母子で歩いてる親子が視界にはいっては

勝手な想像をしてしまう。




幸せそうで羨ましい。



素通る親子の実生活なんて知らなくても


みんながみんな


私よりも幸せなんだろうって…



考えてしまう。




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