愛してるなんて言わないで
「それってどんなとこ…?」
すかさず聞かれて、少し困る。
翔太さんは…玲二とは180度タイプの違う人間だ。
見た目なら一重だけどくりくりとした目は女の私から見ても可愛いらしくて羨ましいと思う。
短い髪がよく似合っていて、スポーツをやっていたのか、バランスの良い体つきに加えた、人懐こさは、一緒に戯れたくなる仔犬のように、関わるみんなに笑顔をくれるような。
そんな魅力を持っている。
実際、颯太や私だって…そんな翔太さんだからこそ、最初から打ち解けられたのだから…。
でも…
そのまんまを伝えるのは恥ずかしい。
そんな風に伝えてしまえば…
結花さん、やっぱり俺のことが好きなんでしょ?なんてなりかねない…。
「社長の魅力は社長にしかない魅力です‼」
「ズルい言い方だ…。」
ずるくて結構です。
でも不思議だ…。
翔太さん相手に、こんな自然に玲二の話しを、穏やかな気分で話せるなんて…。
誰かに、こんなに穏やかな気持ちで、玲二の事を話せる日がくるなんて…
1年前の私はそんな事、想像すらできなかったはずだ…。
それを
好きな人に話している。
不思議な感覚は
決して、玲二を許しきれたものからではないけれど…
玲二が浮気をした原因が…
自分にもあったんだって…そう思えるようになったからなんだ…。
でも
だからと言って、私がバツイチなことに変わりはない。