愛してるなんて言わないで
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「
ハッピーバースデー
颯太ぁ
ハッピーバースデートゥーユー」
小さな口一杯に空気を吸い込み膨らませると
5本のロウソクを一気に吹き消した。
「きゃーっ‼颯太おめでとう‼」
拍手するのが私1人なら、目一杯に大きな拍手をしてあげると
「ありがとう」と照れ臭そうに颯太が笑う。
今日は2人きりの
颯太の5歳の誕生日。
誕生日を2人で過ごすのはこれで二度目だ。
「ママっ、今日はご馳走だね⁉」
「当たり前じゃん。颯太の誕生日なんだから」
お寿司にハンバーグ。
唐揚げにピザ。
今日は颯太の好きな物だけをテーブルに並べた。
2人きりで食べ切れるはずなんかないけれど
折角の誕生日を質素になんかしたくない。
「今日は誰も来ないの?」
「ん?おじいちゃんとおばあばあちゃんは、次のお休みに、颯太をお出掛けに連れてってくれるって‼
その日は颯太、おばあちゃんちにお泊まりだよー‼
プレゼント買ってくれるって言ってたから、好きな物買って貰っちゃえ‼」
「本当⁉やったー!」
手を叩きながら喜ぶ颯太。
今日は誰も来ないの?って…
やっぱり
2人きりは淋しかったかな。
でも
そんな淋しさに負けたらだめだ。
私は颯太と2人で生きてく覚悟を改めて
決めたんだから…っ‼
「はい。これママからのプレゼント‼」
「ありがとう‼」
自分よりも大きな箱を目の前に、颯太の目の輝きはよりいっそう、キラキラする。
「あけてごらん?」
「うん‼」
元気な返事のあとに何のあめらいもなく包み紙を破いていく。