愛してるなんて言わないで
「やりたいなぁ…」とゲームのカセットを見つめる颯太を待たせて
自分の部屋に玲二からのプレゼントを取りに行く…。
パパから…といえば颯太がどんな反応をするか…
恐いけど…
でも
これは…
パパから颯太への最後のプレゼント…。
プレゼントが入った紙袋をキュッと握りしめて深呼吸をした。
「母強し‼母強しっ‼母強しっっっ‼」
不安を吹き消すように声をあげると
プレゼントを持って颯太の所へ戻る。
「颯太、ちょっと大切な話し…。
聞いてくれる?」
カセットを抱きしめて、不思議そうにする颯太を膝の上に抱っこして、後ろからギュッと抱きしめる。
「ママ…?」
「颯太に…颯太の大切な人からのプレゼントがあるんだ。」
「誰…?」
ずっと、颯太の前では避けていた人の名前…。
名前を言うだけでこんなにも
震えが止まらないのは
どうしてだろう…。
「パパ…。
颯太のパパからのプレゼント」
思いきって伝えると
「パパっ?」
顔を見なくても分かる…。
颯太の嬉しそうな顔が…。
かまってももらえなかったくせに…
どうして
パパ。の名前でそんなに喜ぶの…?
切なくて…
颯太の頭に頬を押しあてて
涙がでないように唇を噛み締めた。
颯太の膝の上に紙袋を乗せると
「なにかなー?」なんて呑気な声をだしながら、ガサガサ中を確かめる。