愛してるなんて言わないで


「颯太、あとでお寿司、食べに行かない?」

「えっ?お寿司?」


颯太の顔色がパッと明るくなる。


「お家で食べるんじゃないよ?

くるくる回るお寿司やさんだよー?」


颯太に抱きつくと

ギュッで抱きつき返してくる。



「行く!回るお寿司やさん‼」


よしっ‼

機嫌良くなった‼



夕方まで2人でのんびりまったり手遊びをしたり、誕生日貰ったプレゼントで遊んだり

たまにこんなのんびりした休日も悪くない。


それに、今日は颯太の不機嫌スイッチも入りやすいから…


下手に外に連れてってギャン泣きされたらたまったもんじゃない…。



「お寿司っ!お寿司っ!

おっすっシー!」


車の中で自作の歌を歌いながら颯太はご機嫌。


小さなことで直ぐに不機嫌になるくせに…


お寿司やさんに行く準備を始めようとした途端

理由もなく不機嫌に泣いていたはずの颯太はご機嫌に支度を始めた。



「子供って…難しいのか単純なのか分からない。」





夕飯時よりも少し早めに家をでて正解だった。


ふと見ると私達が案内された後すぐに、もう店の入り口には列ができている。


「並ばないで食べれてラッキーだったね。」


「うん‼

ねえ、僕、好きなもの食べてもいい?」

「いいよ。食べな食べな」


すると颯太はすぐに

帆立の握りとイクラの軍艦のお皿をひょいと取る。


帆立とイクラは、高級すぎて自宅ではなかなか食べれないから

お寿司やさんに来た時の颯太の定番メニューだ。

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