愛してるなんて言わないで
これで颯太も上機嫌MAXかと思いきや…
家に帰るなり
ひんひん
ぐずぐず…。
「どうしたの?どこか具合い悪いの?」
と、聞いてもただ、めそめそするだけ。
どうして欲しいのか分からなくて、颯太を布団にいれて一緒によこになっていると…
颯太の呼吸が突然、荒くなった。
「颯太っ⁈どうしたのっ⁉」
苦しそうに肩で息をして
頬もほんのり赤い。
「熱…?」
にしても、呼吸が荒すぎる。
「颯太、どこが辛いっ⁈」
焦る私に布団は「痒い…」と
掠れた声で呟いた。
慌てて掛け布団を捲ると、体中に発疹が出ていて
怖くなって息を飲んだ。
どうしよう…。
どうするべきっ⁉
こんな時に頼れる誰かもいない…。
苦しそうに蹲る颯太を前に
体が動かない。
どうしよう
どうしよう
どうしよう
「颯太っ‼ちょっと待ってて‼」
こんな時に頭に浮かんだのは子供もいないのに依子の顔だった。
焦りながら電話をした私に「早く救急車をよびな」と
普通だったら冷静に判断できたろうことを、考えることもできなかった。
苦しんでる颯太を前に
頭の中が真っ白になっていた。
10分もしないうちに救急隊員が到着すると、颯太を担架に乗せる。
救急車に乗せられる颯太を見て
更に頭の中が真っ白になった私に
「お母さんも早く来てください」と言われたことまでは憶えていたけれど…
検査室の前のベンチに座って
カタカタ震える自分の肩を抱きしめていた。
一体、颯太に何があったというのだろう…
今日一日、不機嫌スイッチが入りやすかったのは
もともと体調が悪かったからなのかもしれない…。
子供の体調不良のサインにも気付けなかった私は
ただのバカ親だっ‼
もし、颯太に何かあったら…?
恐くて
恐くて
自分の命を脅かされる以上の恐怖が
私を襲う。