愛してるなんて言わないで


「結花ちゃん?」


座り込む私に

白衣の男性が声をかけた。



「結花ちゃん、颯太、大丈夫だから落ち着きなよ?」


聞き覚えのある声に顔をあげると


そこにいたのは玲二の同僚の内科医の伊達君だった…。




「伊達…くん?」

「颯太の症状、多分アレルギーによるものだと思うって…


今検査してるから」


「アレルギー?

颯太、アレルギーなんか今までなかったよ?

なんで?


なんで急にあんなんなっちゃうの?


息が苦しそうだったよ?

体に赤いぶつぶつができてて

「ママ」って呼ぶのに何もしてあげられなかったんだよっ‼


なんで⁈

颯太、どうしちゃったのっ⁉」

伊達君の袖を掴み

問い続ける。




「結花、落ち着けよ。」

伊達君の後ろから…

聞こえた玲二の声。



と、いうことは

ここは玲二の勤める病院…?



「ねえ、玲二っ‼颯太は⁈


颯太、今、何してるの⁈


なんで私、中にはいはれないのっ⁉」



掴みかかる私の肩を

玲二は「大丈夫だから。」と揺すった。





「今、ちゃんと検査してるから。

颯太…何食べた?

その前から体調悪いところとかあったか?」



「夕飯にお寿司…


でもっ…


でもっ…


体調が悪かったとかわからなかったっ‼」


言葉にした途端

苦しそうに蹲る颯太が目の前に浮かんで



恐くなって

涙が溢れ出て来た。


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