コント集「鬼ヶ島に行きたくない桃太郎」
桃太郎「やっぱり鬼が怖いといいますか…」

おばあさん「怖い?怖くないですよ、鬼なんて」

桃太郎「怖いですよ」

おばあさん「怖くないです。鬼なんてのはね、ちょっと角が生えてて、牙が生えてて、金色の髪で、大きくて真っ赤な体なだけですよ」

桃太郎「十分怖いですよ」

おばあさん「怖いと思うから、怖いんです。心頭滅却すれば、火もまた涼し」

桃太郎「それはどういう意味ですか」

おばあさん「怖くないと思えば怖くないということです」

桃太郎「本当に?」

おばあさん「さあ一緒に思い込もう!怖くない、怖くない、怖くない、怖くない…」

桃太郎「怖くない、怖くない、怖くない、怖くない…」

おばあさん「怖くない、怖くない、怖くない、怖くない…さあ、どうですか?」

桃太郎「えと…」

おばあさん「角があって、牙があって、金髪で、残忍で、腕っぷしが強くて、骨という骨をバキバキに折られて…」

桃太郎「怖いよっ」

おばあさん「あれ~」

桃太郎「つうか、さっきより怖くなったよっ。煽ってんじゃないのっ」

おばあさん「ごめんごめん、でもね、案ずるより産むがやすし、っていうことわざもあるように、実際やってみたら、思ってたよりそうでもないってことは、たっくさんあるんだから、先ずは飛び込んでみなさい」

桃太郎「だって、僕の前に、何人もの人が、鬼退治に出掛けて、誰一人、帰って来てないそうじゃないか」

おばあさん「帰り道が分からなくなったんじゃないか」

桃太郎「みんながみんな、道に迷う筈ないでしょ」


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