コント集「鬼ヶ島に行きたくない桃太郎」
おばあさん「他にも理由あるかもしれないよ。もしかして、鬼ヶ島が意外と居心地よくて住みついてしまったりとか、奥さんが怖くて、帰れないとか」

桃太郎「鬼より奥さんが怖いってこと?」

おばあさん「鬼嫁っていうからね」

桃太郎「とにかく、僕まだ12歳だしさぁー、もっとこう、鬼との死闘とかじゃなくてさぁー、寺子屋で算術の勉強とかさ、古事記や万葉集の勉強をしたいんだよね」

おばあさん「寺子屋で算術勉強して何になるよ。生きてくのに、役立つ?」

桃太郎「算術は役立つよ」

おばあさん「畑仕事にそんなの必要ねぇ!朝から晩まで、何にも考えず、ひたすら働いてりゃいいんだっ」

桃太郎「おばあちゃん、考え方が古すぎるよ」

おばあさん「なんやとー。誰のお蔭で、ここまで大きくなれたと思ってんじゃい」

桃太郎「それは感謝してるけど、いいかい、おばあちゃん。算術をものにして、活用できれば、今より楽に働いて、今より多い収穫を得られるんだ」

おばあさん「はーー、そんなうますぎる話、誰が信じるかっての」

桃太郎「本当だっての!」

おばあさん「…本当なのかい」

桃太郎「本当さ。そしたら、蓄えも出来てさ、おばあさんはきれいなおべべの一つも買えるかもしれない」

おばあさん「そんな、まさか」

桃太郎「旅行にも行けるし、美味しい物も食べれる」

おばあさん「まさか、まさか、まさか、そんな美味しい話!」

桃太郎「本当です」

おばあさん「マジか…。じゃ、じゃあ、算術はいいとして、古事記や万葉集は?これこそ、一文の得にもならないよね?」

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