あいにいくよ
星につきに
「ちあり、そこにいる?」
「いるよ。まにまの隣にいるよ」
背中合わせ、背中越しの体温で互いを感じられる距離に二人はいた。
先ほどまで乱れていた呼吸音は徐々に落ち着きを取り戻し、今ではいつも通り。
走りつかれた足を投げ出し、しばらく動き出せそうにもなかった。
バカなことをした。と、言いかけてやめたのはどちらだったか。
あどけなさの残る、幼い二人の顔には深刻な表情が張り付き、とても安心出来そうになかった。
学校の中では、一番かっこよくてスポーツの得意なちありは、部活と遊びで鍛えた足が疲労と不安で震えているのを悟られないように無意識に手で擦っていた。
クラスの中では決して目立たず控えめだが、頭がよく気遣いの出来るまにまは赤く腫れた右目を気にして俯いた。
二人とも、不安だった。
夜になり電車が止まるであろうことも、財布の中身が少ないことも、携帯の電池が残り少ないことも、全てが心配で、恐ろしかった。
見知った道を宛もなく全速力で駆け抜けた、一番遠い町まで電車でたどり着いたここは、生まれ育った町とは全てが違い、幼い二人には冷たく大きく見えた。