あいにいくよ

 別室に取り残されていた彼女が、警察に連れられ出てきた。

 ちありを見つけるといつもの様に笑顔でほほ笑む。

 「ちあり、いこう。ずっといっしょ」

 ゾクリ、また、何かが背筋を駆け抜けるような悪寒がした。

 両親になど目もくれず、まにまは笑む。

 「…嘘、だったって、ぜんぶ、なんで」

 「うそ?」

 「…おとうさんに、いじめられてるって」

 「…言ってないよ、そんなこと」

 静かな声が、長い廊下に響いた。

 「家に居場所がないって」

 「だってお父さんもお母さんも私に勉強しろだとか遊びすぎるなとかうるさいんだよ?居心地悪いにきまってるよ」

 「…たまに痣とかできてるし」

 「…ちありだって痣だらけじゃない」

 「それは部活で!…間違いならなんで訂正しなかったんだよ」

 「だってそんな勘違いしてると思わなかったんだもん」

 悪びれないその言葉に、怒りを抑えられなかった。

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