あいにいくよ

 「逃げよう」

 「どこに?」

 責めるような言葉に、バカなことを言ったと息を飲んだ。

 「明日も学校だよ?」

 「学校はやめて働こう」

 「むりだよ」

 「無理じゃない!」

 言い切った、後悔も迷いもないわけではなかった。

 ただ、ここではいけないと思った。

 「無理だよ!」

 立ち上がった拍子にブランコがうるさく金属音を上げた。

 まにまは怒ったようにちありを責める様にまくしたてた。

 「住む場所はどうするの?未成年は家を借りられないんだよ?10時までしか高校生は働けないんだよ?病気になったら?お金がなくなったら?…ここからいなくなるなんて無理だよ」

 「なんとかなるよ!」

 手を握れば、ふり払われた。

 「やだ…やだよ…なんで…?なんで私がこんな思いしなくちゃいけないの?」

 力なくしゃがみ込んだまにま。

 頭を抱えて蹲るまにまは、指の隙間からちありを見ていた。

 「ちありはいいなぁ…しあわせで」

 
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