あいにいくよ

 暗くなった空、見えにくくなった視界、指の隙間から覗く目玉がやけに、恐ろしかった。

 本気で羨み、ほしいほしいと訴えかけられているようで、背筋がゾクリとした。

 「…ま、まにま」

 「わたしもしあわせになりたいなぁ」

 居心地の悪さを覚え、ちありはまにまに手を伸ばした。

 「何でもするから。逃げよう!ここじゃないどこかに」

 「どこかって・・・どこに?」

 「遠く、誰も二人を知らないずっと遠くの町に!」

 幼稚な案に、現実的なまにまが乗ってくれるとは思えなかった。

 「いっしょに?」

 「いっしょに!」

 手を取り立ち上がったまにまはかみしめるように小さく言った。

 「…いっしょに」

 いこう!と走りだしたちありにはまにまの呟きは聞こえなかった。

 「へへ…ずっといっしょ…えへへ…いっしょ、いっしょ」

 
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