あいにいくよ
息が切れる程走った。
足は疲労から痙攣していた。
足の遅く体力のないまにまを引っ張って走る分よけいにちありの体力は減っていった。
遠くとは言ったが、電車と足をつかっての移動ではたかが知れていた。
二人にとっては見知らぬ街、けれどもさほど大人にとっては遠くもない町であったが二人は気づかない。
「歩こう」
座っているわけにもいかず、まにまを引っ張り二人は歩き出す。
行く宛はない。
ただ逃れるように、進む。
「…ちあり、今何を考えてる?」
背後の問いに溜息を吐いてちありが言った。
「…まにまと同じことだよ」
「…ちありもおなかすいたの?」
思わず振り返れば、笑顔のまにまが見れた。
笑ってくれたことに喜びを感じたのもつかの間、視界に嫌でも飛び込んでくる右目の腫れが痛々しく、目を逸らした。