あいにいくよ
きかせて
ーー
彼女は笑っていた。
壊れてしまわないように、傷ついてしまわないように。ちありが星や月に祈ったにも関わらず、彼女は狂った様に不気味な笑みを浮かべて笑っていた。
夜道を歩く二人が補導されて三時間がたっていた。
互いの両親は補導されて一時間後には駆けつけ、事情聴取が行われた。
その場で、ちありは決死の覚悟で全てを吐露した。
知らずに涙が勝手にあふれ出し、最後には父親が偉いぞ!と頭を乱暴に撫でてくれた。
いってよかった、彼女は救われるのだから。
清々しさすら感じながら、彼女は今後どうなるのか、心配になった。
吐露した後では全てが遅かったと、慌ててしまう程に心配した。
事実確認を済ませた後、別室に取り残された彼女、外に出てきたまにまの両親はちありに頭を下げた。
そんな、事実はありません。ご心配ご迷惑をかけたことを娘に代わって心よりお詫び申し上げます。
その、言葉を理解できないわけではなかった。
信じられなかった。
大人の嘘に騙されるかと、両親の制しを振り切り声を荒げたが、おまわりさんが言った。
彼女の右目の傷は、故意に自分でつけた傷であると証明できる、と。
つまりあの傷は、自傷であると。