地味子さんの恋愛事情
そう思っていたら、
「桃ちゃん、どうかした?」

大河が私の顔を覗き込んできた。

「な、何でもないわよ。

後、すっごい近いから」

私は大河の端正な顔から逃げるように視線をそらした。

「別にいいじゃん。

昼は兄貴の相手をしていたんだから、夜は俺の相手をしてよ」

「嫌です」

私は親子丼を口に入れた。

親子丼は冷めていたけれど、それでも美味しかった。

「桃ちゃん、やっぱり美人だよね」

「あー、はいはい」

同じセリフを言うところは、やはり兄弟である。
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