地味子さんの恋愛事情
「それ、桃ちゃんのために作ったんだけど…」

毒づくように呟いた大河の声に竜馬は気づいていないようだ。

気づいていたとしても何も言わないのが竜馬のいいところである。

竜馬は私の隣の椅子に腰を下ろすと、
「お前さ、勝手に桃子を独り占めしようとしてるんじゃねーぞ」

大河に言った後、親子丼を口に入れた。

「夜くらい別にいいじゃんか。

昼は兄貴が桃子のことを独り占めしてるじゃんかよ」

私と2人でいる時は“桃ちゃん”と呼んでいたのに、竜馬が登場したとたんに“桃子”と呼び方が変わったのはいつものことである。

そう言い返した大河に、
「昼は昼、夜は夜だ。

それにお前はエロ小説を生業にしている以上、桃子に何をするかわからない」

竜馬は言い返した。
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