地味子さんの恋愛事情
隣の秘書室に行こうとしたら、
「兄妹だか知らないけど、ちょっとなれなれしくない?」

すぐ近くにある給湯室から声が聞こえた。

またか…。

私は息を吐くと、給湯室に歩み寄った。

「仕方ないわよ、社長はシスコンなんだから」

仕事はどうしたのよ。

そう思いながら、
「何か社長にご用ですか?」

私は給湯室に顔を出した。

それまで話をしていた彼女たちはゲッ…と幽霊でも見たかのような顔をした。

「ご、ごめんなさい。

失礼しました…」

彼女たちはペコペコと私に会釈をするように謝った後、給湯室から立ち去った。
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