地味子さんの恋愛事情

戸惑っている私のところへ竜馬が歩み寄ってきたかと思ったら、顔を近づけてきた。

「――あの、ッ…！」

私の言葉を封じ込めるように、竜馬が唇を重ねてきた。

すぐに唇が離れたかと思ったら、
「眼鏡が邪魔」

カチャッと、それまでかけていた眼鏡を外されてしまった。

元々の視力はいいので外されても見えにくいと言うようなことはない。

それどころか、竜馬の端正な顔立ちが目の前にあることに戸惑ってしまった。

家でも会社でも、それも毎日のように顔をあわせているのに…。

「いっそのこと、俺を選んだらいいんじゃないか？

血の繋がりはないから結婚はできると思う」

竜馬はそう言うと、また私と唇を重ねてきた。