地味子さんの恋愛事情
と言うか、そんなことを言うために胸に顔を埋めたんかい！

そう思って大河の顔を胸から引き離そうとしたら、
「もういい加減に俺を選んでよ」

大河が言った。

「えっ…？」

その言葉の意味がわからなくて、私は思わず聞き返していた。

「兄貴じゃなくてさ、俺を選んでって言ってるの。

兄貴よりも桃ちゃんを幸せにする自信があるから、早く俺を選んでよ」

「え、選んでって…」

会社で竜馬が言ったことと同じことを言われるとは思っても見なかった。

「もし選ばないって言った場合はどうするの？」

頭の中に浮かんだ疑問を口に出したら、
「そんなことはさせないようにする。

兄貴よりも俺の方が魅力的だってことを教えるから」

胸に顔を埋めた状態で大河が答えた。
< 45 / 65 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop