地味子さんの恋愛事情
「大河!」

怒鳴りながら名前を呼んだ私に、
「桃ちゃん、ただいま」

大河がのん気に返事をした。

「いつも言ってるでしょ、いかがわしいDVDを机のうえに置くなって!

あなたの部屋のベッドのうえに返したわよ!」

そう怒鳴った私に、
「えっ、俺の部屋に入ったの?」

大河が驚いたと言うように聞き返してきた。

「入ったわよ!

あんなものを置かれて、いかがわしいものだらけの部屋に入ったこっちの身にもなってよ!」

「いかがわしいって…。

あれでも資料なんだけどなあ」

大河は苦笑いをすると、栗色の髪をかきあげた。
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