地味子さんの恋愛事情
そんな私の反応をおもしろがるように、大河がの唇が耳たぶに触れた。

「――あっ…」

フッと吹きかけられた息に、また躰が震えた。

「俺の小説のモデルになってよ…」

消え入りそうな声で言った大河に、私の心臓がドキッ…と鳴った。

「もう少し言うなら、兄貴じゃなくて俺を選んで」

「――ッ…」

大河の唇が私の唇と重なった。

触れるだけの唇がすぐに離れたかと思ったら、大河が私の顔を覗き込んできた。

うっすらと頬を赤らめている私の顔が大河の瞳に映っていた。

「――かわいい…」

そんな私をおもしろがるように、大河はフフッと笑うとまた唇を重ねてきた。
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