地味子さんの恋愛事情
竜馬とは違うキスの仕方に一瞬だけ溺れそうになった。

「――んっ…」

長かったような、でも短かったような気がする。

大河の唇が離れたその瞬間、私は呼吸をした。

「考えてね、桃ちゃん。

今夜、部屋で待ってるから」

大河はフッと笑いながら言うと、私の前から立ち去った。

階段を上る音が聞こえたので、自分の部屋へ行ったようだ。

「――待ってるって…」

ドアの開閉する音を聞きながら、私は呟いた。

そう言えば、いつからこんな関係になったのだろうか?

いつから竜馬と大河は、私をめぐって競いあいを始めたのだろうか?
< 52 / 65 >

この作品をシェア

pagetop