地味子さんの恋愛事情
廊下を照らしているのは、窓から差し込んでいる月明かりである。

今日は満月かと思いながら、私は廊下を歩いていた。

ギシリ…と、私が歩くたびに廊下が鳴った。

静かに歩いているつもりだけれども、どうしても音が鳴ってしまう。

その音にクスリと笑った後、私は部屋のドアの前に到着した。

コンコン

ドアをたたいたら、
「どうぞ」

部屋の中から声が聞こえた。

「入るわよ」

私は声をかけると、ドアを開けた。

部屋の中は電気がついていなくて、真っ暗だった。

代わりの灯りと言えば、カーテンのすき間から差し込んでいる月明かりだけだった。
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