地味子さんの恋愛事情
「待ってたよ」

私がくるのを待っていたと言うように、彼は押しつけるように唇を重ねてきた。

「――ッ…」

私がきたことがよっぽど嬉しかったのか、なかなか唇を離そうとしない。

かなりの長い時間、お互いの唇を重ねていたと思う。

彼はようやく唇を離して、私を解放してくれた。

「――ッ、はあ…」

やっと酸素が吸えることにホッとして、荒い呼吸を繰り返した。

そんな私とは対照的に、彼は呼吸すらも乱れていない。

どこでそんなテクニックを覚えたんだ…。

そう思いながら見ていたら、
「桃子が俺を選んでくれて嬉しいよ」

彼――竜馬が愛しそうに言って、私の髪の毛をなでた。
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