地味子さんの恋愛事情
髪の毛をなでる竜馬の手をつかむと、彼を見つめた。

「どうした?」

訳がわからないと言うように聞いてきた竜馬に、
「――もう、こんなことやめにしない?」

私は言った。

「何が言いたいんだ?」

竜馬はますます訳がわからないと言う顔をした。

「血が繋がっていなくても、私たちは兄妹弟だよ?

関係上では赤の他人かも知れないけど、戸籍上では兄妹弟じゃないの」

「俺はそんな関係を壊しても構わないと思ってる」

そう言った私に、竜馬が言い返した。

「もうさ、我慢の限界なんだよ。

見ているのも、ちょっかいを出すのも嫌なんだよ」

竜馬はそう言い切った後で、私を抱きしめた。
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