Snow Men
額は切れたのか、そこから真っ赤な血が流れている。

右腕には青紫色のあざ、左足には擦り傷とひどい有り様だった。

傷だらけで店内へ飛び込むように入ってきた彼女に、客はどうすればいいのかわからないと言う顔をしていた。

「――き、君…」

僕は椅子から腰をあげると、平雪音に駆け寄った。

「大丈夫?

何があったの?」

そう話しかけた僕を平雪音は見つめた。

三白眼の鋭い瞳が声をかけた僕をとらえると、彼女は気を失ったと言うようにその場に倒れた。

「あっ、ちょっと…!」

倒れた彼女の躰を僕は抱きあげた。

そっと鼻の下に指を当てると、息をしていた。

よかった、生きてる…。
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