Snow Men
気を失っている平雪音を中へと運ぶと、リビングのソファーに寝かせた。

「一体何があったって言うの?」

ケガをした彼女の手当てをしている母が僕に話しかけてきた。

「僕もよくわからないんだ…」

氷水で冷やしたタオルを絞ると、それを手当てを終えたばかりの額のうえに置いた。

「かわいそうに…」

母は悲しそうに呟くと、青あざができている右腕に湿布を貼った。

彼女の身には何があったと言うのだろう?

何があって傷だらけになって、ここへやってきたのだろうか?

「後1時間経っても目が覚めないようなら、『中川医院』の先生を呼んできましょう」

母がそう呟いた時、
「――ッ…」

彼女の眉がピクリと動いたかと思ったら、目が開いた。
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