Snow Men
「寂しかったんだよな…。

両親が弟のことばかりかわいがっていて、寂しかったんだよな…」

呟くようにそう言った僕に、雪音はコクコクと首を縦に振ってうなずいた。

「高校生の時にお父さんが亡くなって、そこから私は1人ぼっちになった…。

その人は自分の子供ばかりかわいがって、私には目も向けてくれない…」

泣きながら話をしている雪音は、とても苦しそうだった。

誰からも愛されないその反動から、いろいろな男とつきあって、取っ替え引っ替えするようになった…と言う訳か。

「そうか、そうだったんだな…」

僕の腕の中で、雪音は小さな子供のように泣いていた。

声をあげてグスグスと泣いている雪音を、僕は気の済むままにそうさせた。
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