Snow Men
周りから“雪女”だ“男喰い”だと評されている平雪音の本当の姿は繊細で、そして寂しがりな女性だった。

両親がいて、妹が2人いて、当たり前のように愛情をもらっている僕とは違う存在だった。

誰も自分のことを見てくれない。

誰も自分のことを愛してくれない。

その反動から、雪音は自分を愛してくれる人を求めるようになった。

何度も傷ついても、何度もひどい目にあっても、時には陰口を言われても、雪音は求め続けた。

時間が経つと落ち着いたのか、泣いたせいで荒かった雪音の呼吸が安定してきた。

「落ち着いた?」

そう聞いた僕に、
「――初めてだった…」

雪音が言った。

「こうして誰かに話して、誰かに聞いてもらったのは、初めてだった…」

そう言った雪音の髪の毛を僕はなでた。
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