恋をしよう!
あっ、近い!

話をしているだけなのに、どうしてそんな至近距離になる必要があるんだ!?

王子と呼ばれているからって何でもしていいと思ってるんじゃないぞ、クソコラ。

「岡田先生、どうかしましたか?」

3年6組の担任の古畑先生に声をかけられて、僕はハッと我に返った。

「い、いえ、何も…」

僕は首を横に振って答えた。

しまった、荻原を見過ぎた。

だけど、荻原も荻原で悪いんだよ。

そう思いながら荻原に視線を向けると、彼女と目があった。

荻原がパチリとウインクをしたその瞬間、僕の心臓がドキッ…と鳴った。

うーむ…。

間違いなく僕は、荻原の手のひらのうえで踊らされてるぞ…。

何事もなかったように競技の実況をしている荻原を見ながら、僕は思った。
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