恋をしよう!
ここにいるのは荻原1人だけのようだ。

「荻原」

僕が声をかけると、
「あっ、先生」

荻原が僕に気づいた。

僕は荻原に歩み寄ると、
「砂を払い終わったら、すぐに数学準備室にきて」

荻原の耳に聞こえるように、僕はささやいた。

「えっ?」

荻原は驚いた顔で僕を見たけど、僕は彼女の横を通り過ぎて数学準備室へと足を向かわせた。

数学準備室に入ると、
「先生、何ですか?」

荻原が入ってきた。

「えっ、きゃっ…」

その瞬間、僕は荻原を抱きしめた。

「先生、どうかしたんですか?」

荻原が驚いたと言うように聞いてきた。

僕が知っている荻原だった。

「先生、あの…」

外のグラウンドから後半戦が始まったと言うアナウンスが聞こえた。
< 130 / 438 >

この作品をシェア

pagetop