恋をしよう!
その日の放課後。

「先生」

荻原が数学準備室に入ってきた。

「きちゃいました」

エヘヘと照れたように笑いながら言った荻原を、僕はかわいいと思った。

そんな僕に気づいているのかいないのか、荻原は椅子に座っている僕の前に歩み寄った。

「宣言通り、テストで100点を取りましたよ?」

僕の顔を覗き込むと、荻原は言った。

「ああ、すごいな」

僕が言ったら、
「ご褒美、忘れていませんよね?」

荻原が聞いてきた。

「忘れる訳がないだろ。

僕は約束をちゃんと守る主義なんだ。

だけど、その前に…」

僕はテーブルの下からそれを取り出すと、荻原の前に差し出した。
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