恋をしよう!
チーンと、エレベーターが到着した。

同時に僕もひらいめいた。

「そうだ!」

荻原を僕の家に招待すればいいんだ!

それで僕と一緒に花火を見よう。

ああ、でも花火だけじゃ物足りないかな。

当然誕生日にはケーキと少しばかりのごちそうが必要だろう。

ケーキは予約して買うとして、ごちそうは簡単だけど僕が腕によりをかけて作ってあげよう。

「よし、これでいいな…って、あっ」

到着したはずのエレベーターはいつの間にかドアが閉まっていたうえに、別の階へと上昇しているところだった。

もう1度、僕は下のボタンを押すとエレベーターの到着を待った。

考え事をしていた僕も僕で悪いけど、エレベーターも少しくらい待ってくれたっていいじゃないか。

…なんて、機械に向かって毒づいても返事はしてくれないけれど。
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