恋をしよう!
恥ずかしくなって話を切りあげようとしたら、
「荻原がよかったらだけどさ」

先生が声をかけてきた。

「えっ…ああ、何ですか?」

そう聞いたわたしに、
「僕に歌の指導をさせてもらえないか?」

先生が言った。

…えーっと、何とおっしゃったのでしょうか?

「先生の教科担当って、数学ですよね?」

「3歳から高校を卒業するまでエレクトーンを習ってたんだ。

高校時代に助っ人でだけど、キーボード担当でバンドを5組も掛け持ちしてたし」

「えーっ、そうなんですか」

先生の口から聞かされた意外な事実に、わたしは驚いた。

と言うか、バンドやってたんだ…。

まじめな先生の姿から想像することができなかった。
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