恋をしよう!
待ちに待った、先生との歌の指導当日を迎えた。

「よく場所がわかったね。

連絡してくれたら駅まで迎えにきたのに」

約束の時間ちょうどに家にきたわたしに、先生が言った。

「場所はわかりましたから、もう心配はいりませんよ」

わたしは中に足を踏み入れた。

リビングに視線を向けると、この間食事をしていたテーブルのうえには電子ピアノが置いてあった。

「本当に習ってたんですね」

電子ピアノを見つめているわたしに、
「だから、そう言っただろ?」

先生は電子ピアノの前に立った。

「わーっ、こうして見るとバンドマンみたいですね」

先生の姿に向かってそう声をかけたら、
「だから、そうだって言ったじゃんか」

先生は呆れたと言うように言った。
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