恋をしよう!
感動と爆笑に包まれたまま、無事に『マンマ・ミーア!』が終わった。

とてもいい芝居だった…。

流れる涙を指でぬぐいながら、暗闇に包まれた舞台を見つめた。

体育館が芝居の余韻に浸っていた時、舞台が明るくなった。

舞台のうえで整列をしている3年6組の生徒がいた。

「ブラボー!」

それまで座って舞台を見ていた観客は立ちあがり、一生懸命演技をした彼らに拍手を送っていた。

萩原をセンターに、彼らは右へ左へ真ん中へと観客に向かって頭を下げていた。

「今日までお疲れ様」

萩原のその姿に向かって遠くから声をかけてみたけれど、彼女の耳には届いていないだろう。

それどころか、萩原は観客に向かって笑顔で手を振っていた。
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