恋をしよう!
グラウンドを見下ろすと、薪が組みあげられていた。

そこに火を灯すと、ボウッと紺色に染まった空を照らすようにオレンジ色の炎があがった。

その炎を囲むように、生徒たちは後夜祭のイベントを楽しんでいた。

それを見ながら、僕は荻原が数学準備室へくるのを待っていた。

後夜祭を抜け出すのは難しいかな。

高校最後の文化祭だから、後夜祭まで楽しみたいかも知れない。

そう思いながら缶のストレートティーに口をつけたら、
「先生」

ガラッとドアが開いたかと思ったら、今日1日ずっと会いたくて仕方がなかった愛しい彼女の声が聞こえた。

「荻原」

名前を呼ばれた荻原ははにかんだように笑った後、僕のところへ歩み寄ってきた。

荻原の格好は舞台衣装であるオーバーオールのままだった。
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