恋をしよう!
抱きしめていた荻原の躰を離すと、窓の外に視線を向けた。

「キレイですね」

オレンジ色の炎を見ながら、荻原が言った。

彼女の愛らしい横顔がオレンジ色の炎に照らされている。

「それよりも、みんなと一緒に最後の後夜祭を楽しまなくてもいいのか?

と言うか、勝手に抜け出してきてもよかったのか?」

そんな荻原の横顔を見ながら、僕は聞いた。

「いいんですよ。

最後――せめて後夜祭だけでも、先生と一緒にいたかったので」

荻原は答えた。

そう答えた彼女に、最後の文化祭は僕と一緒に過ごしたかったと言っていたことを思い出した。

「そうだったな」

僕はそう答えると、荻原の肩を抱き寄せた。

「先生も本当は、わたしと一緒にいたかったんじゃないんですか?

入ってきたとたんに抱きしめてきたり、こうして肩を抱き寄せたりして」

荻原はクスクスと笑った。
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