恋をしよう!
そう思った時、手に持っているシャープペンが先生が貸してくれた青いシャープペンだと言うことに気づいた。

そのシャープペンに向かって笑いかけた後、
「――よし…」

誰にも聞こえないように小さな声で気合いを入れた。

――荻原ならやれるよ

どこからか、先生の声が聞こえた。

先生、やります。

わたし、絶対に合格してみせます。

問題用紙と向きあうと、シャープペンを動かした。

「――やめ!」

試験官の声に、制限時間の90分が経ったことに気づいた。

「今から職員の方が問題用紙を回収しますので、そのままにしてください」

職員の手によって、それまで机のうえにあった問題用紙が回収された。

後は試験結果を待つだけだな。

ふうっと、わたしは息を吐いた。
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