恋をしよう!
食事は楽しく進んだ。

「こんなことを言っちゃ失礼だけど、親御さんはよく外泊を許してもらえたよな。

お母さんはともかく、警察関係の仕事をしているお父さんの方は大変だったんじゃないか?」

ワインを飲みながら僕は荻原に質問した。

未成年を連れ出したのは僕だけど、それに対して荻原の両親もよく許してくれたなと思った。

「それに関しては心配しなくてもいいですよ、先生。

両親は九州の方へ出かけていますから」

そう答えた荻原に、
「九州?

旅行にでも出かけているのか?」

僕は聞き返した。

「旅行じゃなくて結婚式に出席するためですよ。

女優時代の母がお世話になった人の結婚式なんだそうですよ」

「へえ、そうなのか。

それはめでたい話だね」

僕はワインをグイッと飲み干した。

荻原が僕を見つめていた。
< 279 / 438 >

この作品をシェア

pagetop