恋をしよう!
千秋ちゃんが再び我が家を訪ねてきたのは、その翌日のことだった。

「はい」

わたしの部屋に入ったとたん、千秋ちゃんは縦長の機械のようなものをわたしに見せた。

「何これ?」

音楽プレイヤーか何かだろうか?

そう思いながら聞いたら、
「これね、ボイスレコーダーって言うの」

千秋ちゃんが答えた。

「えっ、ボイスレコーダー?」

思わず聞き返したわたしに、
「中古で3000円だったけど、結構使えるよ。

まさかお兄ちゃんが通販でふざけて買ったものがこんなところで活躍するなんて思わなかったわ」

千秋ちゃんは得意気に笑った。

「ここに数学準備室でのことが録音されてるから」

そう言った千秋ちゃんに、
「数学準備室って…もしかして、一晩置いたの?」

わたしは聞いた。
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