恋をしよう!
「ちょっと止めて」

そう言ったわたしに、千秋ちゃんは停止のボタンを押した。

「やむを得ない事情って、どう言うことなの?」

そう聞いたわたしに、
「それもこの中に入ってるから、もう少し聞いて」

千秋ちゃんは言い返すと、再生のボタンを押した。

「失礼します」

ガラッと音がしたのと同時に、また誰かが数学準備室に入ってきた。

「ああ、古川くん」

千秋ちゃんが言った。

古川くん?

わたしの記憶違いじゃなかったら、古川くんは2年生だったはずだ。

なのに、どうして3年生の数学を受け持っている先生のところへやってきたのだろう?

「田村先輩、こんにちは」

「こんにちは、岡田先生に何か用事?」

そう聞いた千秋ちゃんに、
「ええ、まあ…」

古川くんは呟くように答えた。
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