恋をしよう!
すでに離れたところにいる美咲に追いつくと、彼女をつかまえた。

「きゃっ…」

ヒョイと美咲を抱えると、水面から顔を出した。

「えっ、早い…」

美咲は戸惑っている。

「前の学校では水泳部の顧問をしていたんだ」

そう言った僕に、
「そんなこと聞いてないですよー」

美咲は信じられないと言うように言い返した。

「だから水泳が上手で、すぐに追いついたんですか?」

そう聞いてきた美咲に、
「潜水だと2分は潜っていられるよ」

僕は言い返した。

「それ、反則じゃないですか…」

美咲は呟くと、僕の胸にもたれかかってきた。

彼女の濡れた髪の毛が僕の躰に貼りついていた。

どこか遠くを見つめているその表情は色っぽかった。
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