恋をしよう!
清潔感が漂う男らしい短髪の黒髪は、まさにわたしの好みだ。

日に焼けたその肌は、運動部の顧問をしているのだろうかと予想してしまった。

グレーのスーツを着こなした長身の躰はまるでモデルか俳優のようだった。

同級生の男子とは大違いだ。

「それでは次の試験も頑張ってください」

先生は集めた解答用紙を手に持つと、教室を後にした。

あっ、シャープペンを返すの忘れちゃった!

でも、
「いいか」

わたしは呟いた後、青いシャープペンをペンケースに入れた。

壊れたシャープペンもペンケースに入れると、代わりに予備のシャープペンを2本取り出した。

もしこの高校に合格したら、あの先生と毎日会うことになるだろう。

その時に、
「あの時はありがとうございました」
と、青いシャープペンを返そうとわたしは思った。
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