恋をしよう!
食事の後でお目当ての福袋を買えてラッキー…のはずだけど、わたしの気分は沈んだままだった。

「――あすみちゃんに悪いことしちゃったかな…」

両手に福袋を抱えた状態で家路へと向かいながら、わたしは呟いた。

でもわたしは自分の気持ちを正直に伝えただけだ。

演劇に興味がないのは本当のことだし、女優としてやって行くのは全くない。

大学に進学して卒業したら…先生のお嫁さんになりないな、なんてね。

頭の中で思い描いている未来予想図に、わたしはクスリと笑った。

先生は久しぶりの実家で、どんなお正月を過ごしているのかな?

冬休みが終わったら、家族の話とかいろいろと聞いてみたいな。

わたしも先生にお正月のことを話したいな。

新学期が始まったら先生に会えるのが楽しみ…と思ったけど、後味が悪いのはそのままだった。
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