恋をしよう!
美咲は何だかんだと言いながらも素直に白状してくれた。

「へえ、知らなかったな。

劇団に入ってたんだ」

そう言った僕に、
「本当に小さい頃の話で、すぐに辞めちゃったんですけどね。

あまりにもレッスンが厳しくて、もう帰るって泣いてた記憶しかないです」

美咲は答えた。

「かつて一緒だった劇団の子から独立するからってスカウトを受けて、それを断ったって?」

話の内容を言った僕に、
「ええ、断りましたよ。

もう演劇には興味がないですし、女優になりたいとも思わないです。

それで断ったんですけど…」

美咲はそこで話を区切ると、
「返って、彼女に悪いことをしちゃったかなって」

少しだけ言いにくそうに言った。
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