恋をしよう!

事件です-Masahito-

5月になった。

長い連休を終えた後に待ち構えているのは、中間テストである。

そのテストまで残り2週間と迫ってきていた。

「先生、問題集の9ページの応用問題がどうしても解けないんですけど…」

この日の放課後も荻原は数学準備室にやってきて、僕に勉強を教えてもらっていた。

今日は机のうえに問題集を広げている。

「荻原、本当はわかっているんじゃないのか?」

僕がそう聞いたら、
「本当にわからないから聞きにきているんです」

荻原が言い返した。

こう返されたら教えるしか他がない。

「要するに、yをこうやって…」

荻原からシャープペンを借りて教える僕に、彼女は耳を傾けていた。

「そうすれば、答えが出てくるから」

教え終わると、荻原にシャープペンを返した。
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