ノーティーアップル
今日はあいにく高校の同窓会なのだ。
あまり乗り気ではないけど、大学のサークルまで同じ腐れ縁の幼馴染が幹事をやるということで断れずに参加することになったのだ。
少し早めに指定された居酒屋についた。
案内された個室のドアを開くと、懐かしい顔が3人。
「遅いよー。みんな15分前にはついてたんだけど」
友達の永井が笑いながらからかった。
彼と会うのは半年ぶりだろうか。
少し顔は丸くなった気がするけど、人懐っこくて甘い顔立ちは相変わらず同性から見ても魅力的に思えた。
「いや、みんな早すぎだろ。というか今日ってこれだけ…?」
同窓会というからもう少し大人数かと思っていたけど。
男女2対2って…これじゃ合コンじゃないか。
「あれ、言ってなかったっけ?今日は少人数でこぢんまり飲みたい気分だったからさ」
空いた席に腰を下ろして目の前に座っている女性の顔を見る。
2人共最後に会ったのは成人式の時だっただろうか。
振袖姿はあまり印象に残ってないが、当時よりもずいぶん大人びたことはすぐにわかった。
今野さんと青木。
後者の彼女は高校卒業前に告白されて少しだけ付き合っていた人なだけにだいぶ気まずい。
僕の中で彼女は当時流行っていたボブスタイルのイメージで時が止まっていたけど、いつの間にロングのストレートヘアが似合う大人の女性になっていたんだろう。
「2人ともすごい久々。元気だった?」
極力笑顔を心がけ、極力あたりさわりのない話題を振るように努めた。